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お知らせ

設計事業部が設計・監理した水産施設がハリケーン・イルマによる損壊を逃れ、現地の復興の拠点・指令センターとして活用されています

 KRCの母体のひとつであるSSC(システム科学コンサルタンツ株式会社)が2008年~2011年にカリブ海島嶼国のひとつアンティグア・バーブーダ国で調査、設計、監理した「バーブーダ島零細漁業施設整備計画」の水産施設が、2017年9月8日に同島を襲ったハリケーン・イルマの災害を免れた唯一の公共施設であったことから、日本の無償案件施設の災害時の強さを改めて浮き彫りにしました。

 カリブ海や大洋州におけるハリケーン被害の教訓から、高潮の影響を受けにくいラグーン内という立地、建物グランドレベルの設定高さ、およびハリケーン時の風速を考慮した構造設計等防災計画を徹底したことが「島民のシェルター」として使用された結果に繋がりました。

 ハリケーンが猛威を振るっている間、同施設は島民の避難シェルター兼宿泊施設として使用され、ハリケーンが去った後は救援物資の搬入港兼倉庫、島民約1,500人のアンティグア本島への引き揚げ港、また現在はバーブーダ島復興の拠点・指令センターとなり警察、軍の駐屯地として使用されています。電気や水道の復旧工事が着手できない中、水洗便所やシャワーを雨水利用も出来るように配慮したこと、自家発電機を利用して天井扇風機や電灯を利用できること等が奏功して、駐屯されている警察官や軍の関係者が気持ちよく使っているとのこと。同島で漁獲される鮮魚の流通・保管のための冷蔵庫・製氷機も問題なく使用できる状態で、同島復興のシンボルとして同施設の使用再開が水産局により検討されています。

 世界的な気候変動により大型台風やハリケーン被害の増加が予想される中、915HPa、最大瞬間風速82mというカテゴリー5の特大級のハリケーンにも避難シェルターとして機能した同施設の設計基準は今後カリブ海地域や大洋州などの同様施設の設計指標となることが期待されます。
 
                竣工時の写真(2011/7)


      水産施設で本島への渡航を待つ人々(2017/09/08 Adam Anton氏撮影)


バーブーダ島被災状況(水産施設の屋上から撮影 2017/09/29)

通信塔は少し左(北側)に傾いでいる。樹木は全て折れ、建物の屋根は半分以上なくなっている。