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あるドキュメンタリーで経済開発を通じた援助に強い動機を
Q:コンサルタントを目指すきっかけは何だったのでしょう。

大学2年の時、ゼミの授業で『スカベンジャー』に関するドキュメンタリー番組を見ました。フィリピンのマニラでスモーキーマウンテンと呼ばれるごみの山で暮らしている人々をテーマとした作品で、10歳にも満たない、学校に通うこともできない子どもたちが、日々ごみを拾って売ることで生計を立てる姿に衝撃を受けました。漠然としながらも、世界の貧困問題にコミットしたい、経済開発を通じた援助に携わってみたいと思ったのはその瞬間でした。大学卒業後は経済学の大学院留学のために渡米し、統計学、計量経済学を中心に学びました。開発経済学の授業では世界各国の実データを分析する機会が多かったので、初めて名前を聞く国であっても、データ分析を通じてその国の特徴を知るきっかけになっていました。
大学院留学を終えて帰国した後、ODAの実務を経験したいという考えから、JICAの無償案件の機材調達業務に携わりました。多くの本邦製造業企業からの製品を一揃いにし、また大なり小なり機材一つずつに付けた日本の国旗である日の丸を見ながら納めますので、日の丸を背負い日本代表として相手国に支援するといった気持が強く芽生えていきました。その後、限りある予算のなかで最大限のアウトプットを求めていきたい、因果関係を意識しながら各種プロジェクトを実施していきたいといった気持ちから、2020年、当社にコンサルタントとして入社しました。
発展の要となる信頼関係を築き繋いでいく
Q:現在関わっているプロジェクトについて聞かせてください。
一例ですが、バングラデシュ国の経済特区の管理能力を向上させる技術協力プロジェクトでは、経済特区管理を担うバングラデシュ経済特区庁に対して、適切に経済特区を管理・運営して先進国の企業を招致するための支援を行っています。バングラデシュのような途上国が経済発展を進めるには、多くの産業における先進国企業を招き、国内企業がその取引を通じて技術を学ぶことが近道です。またそうすることで、縫製産業だけに大きく依存している一本足打法ともいえる不安定な産業構造から脱却し、バングラデシュ国内での製品製造やサービス向上へと結びつけて直接の経済的恩恵を得ることに加え、バングラデシュ国内への更なる外国投資を呼び寄せることで、持続的な経済成長に繋がることが期待されています。
Q:プロジェクトを進める上で大切にしていることは何でしょうか。
微力であっても、プロジェクト対象国の発展に寄与することを意識しています。何かを教えてあげようという目線ではなく、その国の人たちと同じ目線で、一緒に国の発展に寄与していこうという気持ちです。
また日本との信頼関係を繋いでいこうという感覚があります。例えば、バングラデシュはとても親日度の高い国です。レストランでもホテルでも、日本人だと分かるとみんな笑顔で接してくれるのですが、これは顔も名前も知らない日本人の先輩方々が、それこそ戦前から築いてくださった信頼関係の結果だと思います。私たちの仕事は日本の外交の最前線であり、その信頼関係を繋いで次にリレーするものだと考えています。
日本と諸外国との信頼関係を築き維持しながら、例えば労働力減少や気候変動など、地球レベルの社会問題・環境問題の解決も目指していきたいです。現在4歳の子どもがいるのですが、この子を含めた将来世代が、日本や世界で安心して成長し暮らしていくこと、それが国際開発に携わる意義だと考えます。
世界をより良い方向へと導く仕事だからこそ
Q:この仕事をこれから志す人へのメッセージをお願いします。
何だかんだで、とても大変な仕事だと思います。相手がいる中での仕事ですので、相手国との仕事文化や考え方を尊重し、理解したうえでプロジェクトを進める必要がありますし、会議一つとっても関係者の都合を合わせるのが難しく、思ったよりうまくいかないケースは多々あります。また自身の経験・知見が浅い分野での役割だとしても積極的に取り組む機会は多いです。過去の報告書を読んだり、その分野での先輩から話を聞いたり、セミナーや研修に参加したり、自分で書籍を見つけて勉強したりすることも必要になってきます。
より良いものを求めていくための根気や探求心が大事だと思いますし、適切に情報を整理して的確に情報を発信する能力を高めることも大事だと思います。そうした日々の自助努力を続けて、相手と一緒に考え、自分が納得するまで考え抜いたことを相手に伝えて、実行に移し、それがその国や一人一人の発展に寄与することができるならば、これ以上なくやりがいのある仕事だと思っています。
